おつかれさまです!
長倉です!
コンテンツビジネスを始めようとする人が、
最初に必ずやる失敗がある。
「何を売ろうか」から考え始めることだ。
・自分の強みは何か
・どんな商品が作れるか
そこから発想をスタートさせる。
ハッキリ言っておく、順序が逆だ。
先に考えるべきは、
「どの市場で戦うか」だ。
しかもここでほとんどの人が
もう一個、致命的な間違いをする。
「競合のいないブルーオーシャンを狙いましょう」
このアドバイスを、
真に受けてしまうんだよね。
今日はこの2つの呪いを解こうと思う。
オレがコンテンツビジネスの世界で、
・歴25年
・年間50以上のプロモーション
・累計売上300億円超
やってきた中でたどり着いた、
市場の見極め方だ。
「商品」より「市場」から考えろ
オレは出版の世界で
長く仕事をしてきた。
そこで痛感したことがある。
出版で最も重要なのは「どのジャンルの本を出すか」だ。
同じ著者が、同じクオリティの本を書いても、
ジャンルが違えば結果はまるで変わる。
これはコンテンツビジネスでもまったく同じなんだよね。
まったく同じスキルを持っていても、
どの市場に持ち込むかで売上は何倍も変わる。
極端な言い方をすると。
マーケティングが下手でも、正しい市場にいれば売れる。
マーケティングが上手くても、間違った市場にいれば売れない。
それくらい、
市場選びのインパクトはデカい。
「何を売るか」は、その後で決めても遅くないわけです。
勝てる市場は書店で見つかる
じゃあ、
売れる市場をどう見つけるのか。
オレがいつも勧めてるのは、
めちゃくちゃシンプルだ。
書店に行け。
ビジネス書も実用書も、
基本は問題解決のためのコンテンツだ。
ダイエットの本があるってことは、
ダイエットの市場が存在するってこと。
お金の本があるってことは、
お金に悩む人が一定数いるってこと。
・子育て
・英語
・投資
・恋愛
・健康
書店の棚に並んでるジャンルは、
そのまま「金を払ってでも解決したい悩みを持つ人がいる市場」の一覧なんだよね。
つまり、書店の棚がマーケットリサーチの宝庫だ。
これはうちの会社のメンバーにも言っている。
しかも書店に行くことには、
もう一つ重要な意味がある。
「アルゴリズムの外に出る」ってことだ。
ネット上の情報は、
全部アルゴリズムでフィルタリングされてる。
アナタが普段見てるものに近い情報ばかりが表示される。
これが「エコーチェンバー」だ。
自分と同じ意見ばかりが反響し合う、閉じた空間。
退職してYouTubeばかり見てたら、
いつの間にか陰謀論にハマってた、なんて話は珍しくない。
書店は違う。
普段まったく触れないジャンルの本が、
物理的に目の前に並んでる。
最低でも月1回、理想は週1回、書店に通ってほしい。
これが生きたマーケットリサーチだ。
競合がいない分野は危険だ
ここで冒頭の呪いに戻る。
「競合のいないブルーオーシャンを狙え」
確かに、経営学の教科書にはそう書いてあるかもしれない。
でも、コンテンツビジネスでは違う。
競合がいない=市場が存在しない
とほぼ同じ意味だ。
書店に行って、そのジャンルの本が1冊もなければ、
それはそのテーマに金を払う人がほとんどいないってことだ。
競合がいるってことは、
そこに需要がある証拠なんだよね。
需要がないところにいくら優れたコンテンツを投入してもお客さんは来ない。
だからこそ、
怖がらずにレッドオーシャンに入れ。
「でも、同じジャンルにもっとすごい人がいるから、自分なんて売れない」
それは杞憂だ。
さっきも言った通り、人は最終的に「人」で選ぶ。
格上がいても、アナタの人柄を求める客は必ずいる。
レッドオーシャンでポジションを取る3つの方法
じゃあここからは、
レッドオーシャンの中でどうポジションを取るか
って話をしようと思う。
順番にも意味がある。
「誰に」→「どう見せるか」→「なぜアナタが」だ。
方法1:架空のペルソナを作るな、「塊」を探せ
まずはターゲットを絞ることだ。
ダイエット市場に入るなら、
「40代の産後太りに悩む女性向け」に特化する。
マーケティング市場なら、
「整体院・美容室など店舗オーナー向け」に絞る。
絞れば絞るほど、「まさに自分のための商品だ」と感じてくれるお客さんが出てくるんだよね。
ただ、ここでほとんどの人が
やる間違いを先に潰しておきたい。
細かいペルソナを作るな。
出版の現場でも、
企画書にこういうのを書いてくるやつがいる。
「東京都練馬区在住、43歳、メーカー勤務、週末はキャンプ、奥さんと子ども2人の田中さん」
こういうのは本当にいらない。
なぜか?
売る相手は「田中さん」一人じゃなく
何万人っていう塊だからだ。
マーケティングをかじった人ほど、
精緻なペルソナを作って満足してしまう。
でもそれは「仕事した気分」になってるだけなんだよね。
解像度を上げるべきは人物像じゃない。
「どこに、誰の塊がいるか」だ。
じゃあ、その塊をどう見つけるか。
ここでもまた書店に戻ればいい。
・その棚の本の帯は誰に向かって喋ってるか
・まえがきの1ページ目でどんな状況の人に呼びかけてるか
・その中で自分がいちばん深く話せる相手は誰か
3冊ぶんこれをやれば、
自分が入るべき塊はだいたい見えてくる。
そして、いちばん確実に
「実在する塊」を知る方法がある。
それが3年前の自分だ。
・仕事がうまくいかなくて泣いてた自分
・金がなくて絶望してた自分
・人間関係で消耗してた自分
その頃の自分と同じ場所に立ってる人間は、今この瞬間、何万人もいる。
架空の田中さんより、そっちのほうが100倍リアルなわけです。
方法2:テーマは変えるな、着眼点をズラせ
次は、切り口だ。
英語学習で、
文法や単語を教える人は山ほどいる。
でも「洋楽の歌詞で学ぶ英語」「ビジネス交渉の英語だけに特化」なら、同じ市場でも独自の存在になれる。
オレの実例を出す。
編集者だった2006年、
オレが出した企画書のタイトルは、
『なぜ、社長のベンツは4ドアなのか?』。
これがシリーズ累計70万部のベストセラーになった。
中身は何かというと、
減価償却とか節税とか、要するに会計の話だ。
普通なら、誰も読まない。
会計本なんて当時からド級のレッドオーシャンだった。
じゃあ何をやったのか。
「難しい会計」を「社長のベンツ」っていう身近な疑問に化けさせただけだ。
テーマ自体は1ミリも変えてない。
着眼点をズラしただけ。
章のタイトルも、全部そうした。
「なぜ年商2億、借金10億の旅館は潰れないのか?」
「なぜラブホテルのオーナーは税金を払わなくていいのか?」
「なぜ社長は生命保険が好きなのか?」
中身はリスケ、資金繰り、節税。カタい専門用語だ。
それを全部、思わず気になる質問に翻訳した。
専門知識そのものは誰も欲しがらない。
欲しがられるのは「え、なんで?」っていう引っかかりなんだよね。
しかも、この企画はゼロから思いついたものじゃない。
当時売れてた会計本シリーズの読者から、
「読み物としては面白いけど、会計そのものは難しい」って声が出てた。
普通の編集者はスルーする。
オレはそこに企画を見た。
「面白いけど難しい」の、
その「難しい」を消せば売れる、と。
つまり切り口ってのは、
自分の頭の中を掘っても出てこない。
すでに売れてるものへの「不満」の中に落ちてる。
アナタの市場でも、
同じことができる。
・売れてる本のレビュー欄
・競合の講座を受けた人の感想
・客が漏らす「わかるんだけど、めんどくさい」
そこが全部、
切り口の在庫なんです。
方法3:成功談じゃなく自分の「恥」を語れ
そして、これが最も強力だ。
「元引きこもりが教えるコミュニケーション術」
「3度の離婚から学んだ本当の人間関係」
こういうパーソナルストーリーは、
他の誰にもコピーできない。
ただし、勘違いしてほしくないことがある。
語るべきは「成功談」じゃない。
編集者になって最初の2年、
自分で企画した本はほぼ全部コケた。
増刷はゼロ、「なんでオレの本だけ売れないんだ」って毎晩考えてた。
初めて10万部を超えたのは自分の企画ですらない。
他人が持ち込んできた『会社にお金が残らない本当の理由』っていう本だった。
10万部突破が決まった時、嬉しすぎて会社のトイレに駆け込んで、
カギをかけて、誰にも見られないように一人で泣いた。
カッコいい成功談じゃない、
華々しいデビューでもない。
でも、コンテンツとして効くのはこっちなんだよね。
成功話は自慢にしかならないが、
失敗からの復活劇はコンテンツになる。
なぜか?
読者は今、まさにその沼の中にいるからだ。
沼の底を知ってる人間の言葉しか、
沼にいる人間には届かない。
しかも、ここには強力な参入障壁がある。
みんな、自分の恥を出すのが怖い。
だから出さない。だから、先に出したやつがそのポジションを総取りできる。
方法1で「3年前の自分」を思い出してもらったのはこのためだ。
・3年前の自分=アナタの客がいる塊
・そこから今日までの道のり=アナタのストーリー
・その道で転んだ回数=アナタの参入障壁
全部つながってるわけです。
競合がどれだけ優れた実績を持っていても、
アナタのストーリーだけはアナタにしか語れない。
3つは足し算じゃなく掛け算だ
この3つ、1個ずつだと正直弱い。
ターゲットを絞っただけなら、同じ絞り方をしてる競合はいる。
切り口を変えただけなら、すぐ真似される。
ストーリーだけあっても、市場がなければ売れない。
でも掛け合わせると話が変わる。
・誰の塊に向かって
・どんな角度から
・どんな背景を持った人間が語るのか
この3つが掛かった座標は、
この世に一つしかない。
そこが、アナタのポジションだ。
レッドオーシャンで戦う鍵は「何を教えるか」じゃない。
「誰が、どんな背景から、どんな人に教えるか」
これを明確にすることなんです。
ちなみに方法1の「塊の見つけ方」には、
もう一段深いやり方がある。
クラスター思考だ。
「あるものを好きな人は、別のあるものも必ず好きだ」というパターンを読む考え方。
これが分かると、客が次に欲しがるものを先回りして用意できるようになる。
市場を選ぶことは、出会いたい人を選ぶことだ
今日の話をまとめると・・・
・「何を売るか」より先に「どの市場で戦うか」を決めろ
・市場選びはマーケティングの力量より結果へのインパクトがデカい
・勝てる市場は書店で見つかる、アルゴリズムの外に出ろ
・競合がいない=市場がない、怖がらずレッドオーシャンへ
・ポジションは「塊 × ズラし × 自分の恥」の掛け算で取る
最後に、
一番伝えたいことを言う。
市場を選ぶってことは、
「どんな人と出会いたいか」を選ぶ
ってことでもある。
ダイエットの市場を選べば、
健康に関心の高い人と出会える。
出版の市場を選べば、
本を書きたい情熱を持った人と出会える。
コンテンツビジネスは、アナタが出会いたい人を引き寄せる仕組みでもあるんだよね。
今週、書店に行ってみてほしい。
そして「この本より、自分の方が深い話ができる」と思える棚を一つ探してきてほしい。
それがアナタの戦う市場の入口だ。
アナタはどの棚の前で足が止まりそうか?
よかったらコメントで教えてほしい。
今日話した3つの方法も、
名前だけ出したクラスター思考も、
新刊『経験がお金に変わる』
ではもう一段深いところまで書いた。
自分に合った始め方が見つかる「6つの型」も、全部入ってる。
書店の棚の前で、迷わなくなる一冊にしたつもりだ。
もしよかったらこの本を読んでほしい。
読んだ人はコメントで感想ください!
BE NICE!
長倉


ここで「市場」という言葉をもう一度疑ってみます。
市場はどこにあるのでしょう。
書店でしょうか。
Amazonでしょうか。
検索ボリュームでしょうか。
顧客リストでしょうか。
実際には、
市場という独立した実体はありません。
ある人の痛みがあり、
別の人の経験があり、
言葉があり、
信頼があり、
貨幣があり、
媒体があり、
時代があり、
偶然の出会いがある。
それらが縁によって束の間結ばれたとき、
私たちはそれを「市場」と呼んでいる。
だから、
「市場があるから売れる」
だけでもなく、
「自分に価値があるから売れる」
だけでもない。
人も市場も商品も、
固定した自性を持たず、
関係の中で一時的に立ち現れる。
すると、
「どの市場で戦うか」
という言葉さえ少し変わって見えてきます。
市場は戦場なのか。
それとも、
縁が生まれる場所なのか。
「競合」は敵なのか。
それとも同じ苦しみに別の角度から応答している同行者なのか。
「顧客」は攻略対象なのか。
それとも一時的に人生が交差した人なのか。
「自分の恥」は参入障壁なのか。
それとも、たまたま誰かの痛みと響き合う傷なのか。
そして最後には、「自分の市場」という言葉さえ薄れていきます。
売る人がいて、 買う人がいて、 商品がある。
けれどよく見ると、
教える側も教えられ、 助ける側も助けられ、 売る側も相手によって変えられている。
主体と客体の境界は、それほど固くない。
だから、冒頭の
「何を売るかより、どの市場で戦うか」
からさらに一歩先へ行くと、
私は何を売れるか。
でもなく、
どこなら勝てるか。
でもなく、
どんな人々との縁の中なら、自分も相手も道具にならずにいられるだろう。
という問いが現れてくる気がします。
そしてたぶん、最も「空」なのはここです。
売れた経験にも、売れなかった経験にも、最初から固定された価値はない。
成功が経験を救済するわけでもない。
失敗がお金になったから、失敗が意味あるものになったわけでもない。
意味は、あとから縁の中に生まれる。
だから「経験がお金に変わる」のさらに奥には、
経験は、お金に変わらなくても経験である。
という静かな余白を残しておきたい。
その余白があるからこそ、逆説的に、売るときにも人間を売り切らずに済むのかもしれません。
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